3C分析の使い方 – を知らない経営者であればまずはここから始めよう。私はこれを知ってマーケティング理解のとっかかりが出来ました

マーケティングの考え方が出来る人からすると、3C分析というのはおそらく知っていて当たり前と言えるくらい基本的な分析手法ではないかな、と思っています。

でもエンジニア出身でマーケティングの「マ」の字も知らなかった私にとって、マーケティングの理解は高いハードルでした。

そんな私にとって、マーケティングの「マ」を曲がりなりにも知れた!と思えるきっかけとなったのは、この3C分析でした。

ということで、今回はマーケティングを知らない人(特に経営者)を対象に、少しでも3C分析について知っていただきたくお話を進めていきたいと思います。

3C分析を知らない経営者や事業主を対象に書きました

今回この記事を読んでいただきたい方は、これから事業を始めようとしている方、または事業を始めたのはよいけれども事業がうまくいかず悩んでいる事業主の方々です。

マーケティングの専門家や既に成功されている方にとっては、正直もの足りない内容だと思いますし、色んなツッコミが入りそうな内容かもしれませんので、先に対象者を明示させていただきました。

では、なぜ経営者や事業主を対象にしたのか。

それは、私がかつて事業を行う際に悩んだマーケティングや経営手法について、少しでも早く脱却して事業戦略の拠り所の一つとして活用していただきたい、そのように思ったからです。

事業がうまく行かずに苦しんでいる方を幾人も見てきました。
何とかしたいと思い、3C分析をはじめとした考え方を提示して、事業を進める足掛かりをつかんでもらおうと試みましたが、どうもつかみ切れない様子。
分かります、私がかつてそうだったので。

その場で口頭で説明をして、その場では分かったようなそぶりは見せられるのですが、話が終わりその人が後に行った事を見てみると、どこかずれているわけです。

だから、こうして文章にして、何度も読み返してもらえるようにしようと思ったのです。

3C分析について

前置きはこの程度にして、本題に入りましょう。

3C分析というのは、以下の3つの単語の頭文字「C」をとって出来た名称です。

  • Company ‥ 自社
  • Customer ‥ 顧客
  • Competitor ‥ 競合

自社が提供する商品やサービス、それを受ける顧客、そして競合の3者の関係をみて、どのような戦略を立てていこうか、を考えるフレームワーク(考え方の枠組み)です。

‥とまあ、こんなこと言われても何がなんやら、というところでしょう。
3C分析とはなんぞや、みたいなことを書いているドキュメントは他にも多くありますから、私からは実際の使い方を実例を挙げて進めていきたいと思います。

3C分析の実例「デカフェコーヒー通販」

https://gokkoh.com/

当社で運営しているフレーバー&デカフェコーヒー通販サイトを立ち上げた時のお話を例に話を進めていきます。

最初にC「Company」を見た(3C分析以前の話として)

Companyとは自社。
ここではフレーバー&デカフェコーヒーの事を指しますし、何ならECサイトで始める事を決めていたので、ECサイトを指しても良いです。

まずCompanyと書いてある時点で紛らわしいのですが、自社(法人や個人、団体)などの組織と決めつける必要はありません。商品でもECサイトでも対象は何でもよいのです。要は自分でコントロール可能なものをCompanyと呼んでいます。

3C分析を考える前から実は商品は存在していました。また、単独ECサイトで売る、という方針も決めていました。ということでCompanyについて新たに何か生み出すという事はしておりません。

本来であればこの後話をするCustomerやCompetitorの事も考えたうえでCompanyを見直し固めていく、という事も出来る、という事は先にお伝えしておきましょう。

さて、ECサイトを作る際に、このデカフェコーヒーを作られた方にヒアリングして得られた情報は以下の通りでした。

  • ECサイトで販売をする事を考えている
  • 妊娠中・授乳中にコーヒーを飲む事が出来ずにストレスになった体験から思いついた商品
  • フレーバーコーヒーを飲みたかった(アメリカでは一般的で個人的によく飲んでいたが日本にはあまり無い)
  • 甘い香りにもできるからお砂糖なしでもいけるし、妊娠糖尿病にかかった人には良い商品になると思った
  • 日本のカフェインレスコーヒーはカフェイン除去率が酷いので、ちゃんとカフェイン除去されたデカフェコーヒー豆を使いたかった
  • 妊婦さんにフレーバーは刺激になるので、可能な限り穏やかな香りにしたかった。だからココアパウダーといった素材をミックスした。‥実はこれは後付け理由で、本当はそういうコーヒーを作れるところが見つかったからそれを採用した、という話です。

これがCompanyに関する情報です。

一つ言ってしまうと、売りたいと思うものが先にあって、そこから分析を十分に行わず実際に売るものを先に作っちゃった、という状態で正直あまり褒められたものではありません。
しかしながら、うまくいかない人はだいたいこういう流れで事を進めてしまいますので、理想論は語らず、そこからどうしていくか、というところで話を進める事にします。

次に「Customer」を見た

売りたいものがある状態ですから、次に必要なのは誰に売るか、を考える事です。

元々の発想が妊娠中にコーヒーを飲めなかったという話ですから、妊娠中の方を対象にするのは分かりやすいですね。
ですが、当初マーケティングの「マ」を知らなかった私はこう思ってしまいました。
「カフェインを控えると良い人って、例えば夜寝付けない人、つまり老人もだよね。他にも妊娠中、授乳中の人も対象となるし、そうした方が対象が広がってよいのでは?」

つまり「カフェインを控えたい人」全般をCustomerにしたわけです。
単純に、対象者であるCustomerが増えれば商品もたくさん売れるだろう、という発想です。

さて、この手の話はよく聞きますよね。これじゃダメだ、ターゲットは絞った方が良い、と。
上の話はターゲットを広げてしまった悪い例で、実際にこれをやってしまったおかげで結果的に全然売れない状況が続きました。

ではここで質問です。なぜターゲットは絞った方が良いのでしょう?
それを次の「Competitor」から考えてみます。

「Competitor」競合を見る

上の悪い例では、次の事を決めていました。

  • 「Company」カフェインレスコーヒー
  • 「Customer」カフェインを控えたい人

さて、「Competitor」、つまり競合を上の2つから決めるわけですが、どれだけいると思います?

答えは、「この世に存在するすべてのカフェインレスコーヒー」が競合です。
敵だらけです(笑)。

‥売れると思います?勝てると思います?

超有名な「キーコーヒー」や「ネスカフェ」「スターバックス」も競合ですよ?

こういった企業が出しているカフェインレスコーヒーと、私どもが出そうとしているカフェインレスコーヒーを両方並べて、「カフェインを控えたい人向けにカフェインレスコーヒーを作りました」と自社製品をアピールしたところで、一体だれが買うでしょう?おそらくいないでしょう。

なぜか?
どちらもカフェインレスコーヒーであることは分かっていますから、Customerはカフェインレスという事で比べる事はしません。

では何で比べるか?
Customerは他に欲しいものを持っています。例えば、相手を知っている事で得られる安心感。
有名ブランドと無名のコーヒー、どちらを取りますか?という話です。

これはあくまで一例です。
他にも色々と考えたら出てくるでしょう。ここを深掘りする必要があります。
一体他と比べて自社の商品は勝てる部分があるのだろう、と。

いずれにしても、ダメな理由は分かったかと思いますので、やり直し。

改めてC「Company」を見る

Customer 、 Competitor とみていき、必要とされているもの、競合が既に提供しているものを見て、改めてCompany (自社)を見ていきます。

何を見るかというと、Customerがもとめているものを、Competitorより優位なかたちで提供するものが Companyにあるか、どのように提供するか、という事です。


3C分析をこんな風にみてみると分かりやすい

ここで3つのCをこのようにベン図にしてみました。
注目してほしいのは ① ② ③ とそれぞれのCが交わる部分です。
それぞれの意味はこうです。

①はCustomerが欲しいものを Competitor が扱っていて、Companyは扱っていない

②はCustomerが欲しいものを Competitor が扱っていて、Companyも扱っている

③はCustomerが欲しいものを Competitor は扱っておらず、Companyだけが扱っている

先の例では「カフェインレスを控えたい人向けにカフェインレスコーヒーを作りました」と書きましたが、これは②の部分の事を指しています。

もうお判りでしょうが、②は不利です。
Customerが欲しいものを、CompetitorもCompanyも持っているわけですから、競争になるのは当然です。
この中で勝とうと思うのであれば、ナンバー1になる必要があります。

既に認知がされている、安く提供できる。というように十分な競争力があるのであれば②で戦って大丈夫でしょう。
でもこの記事で対象としている「これから事業を始めようとしている人」にどれだけ競争力があるでしょう?
スタートアップで資金調達も出来て、十分競争力を持っているところであれば別ですが、大抵の人はそうではない、スモールビジネスの方でしょうから、ここでいきなり勝負をしてはいけないのです。

そうなると、残るは③。ここを見るける事が必要だ、と言っています。
言葉で言うと「オンリーワン(Only One)」の事です。

オンリーワンをどうやって見つけるか

オンリーワンを見つけるには、改めてCompanyを見直すところから始めると良いでしょう。

Companyとは「自分でコントロール可能なもの」、つまり自身でそろえるものができるものです。
デカフェコーヒーを例にすると、本来であれば商品の見直しから行う事が出来る‥というかその必要があるのですが、実際には既に商品が出来上がっていますから、残念ながらこの場合は商品の見直しが出来ません。

とはいえ、よくよく見直せば、十分独自性がある事はわかります。

  • 妊娠中授乳中の人を対象に作ったカフェインレスコーヒー
  • 妊娠糖尿病の方を対象にフレーバーコーヒー
  • 妊娠中の人は臭いに敏感だから香りを最小限に、香り素材をミックスした
  • カフェイン除去率が高い

これと同じものを提供出来ているCompetitorがどれだけあるか、改めて探してみましょう。
もしそういったCompetitorが見つからなかったら、はい、それはあなただけのオンリーワンです。

おめでとうございます‥いや、実はまだそういうのは早いのですけどね。

真のオンリーワンは注意が必要

もし本当に競合が全くいない、真に独自性のあるものであれば、もしかしたら特許出願出来ちゃうレベルかもしれませんね‥現実には特許がとれるのと売れる、というのは別の話ですが。

ベン図の③ですらない、つまりそのオンリーワンとなる商品サービスを欲しがるCustomerがいない可能性がある、という事です。

いや、まだあきらめるのは早いですよ。
その存在を知らない、価値を知らないだけという可能性もあります。

Customer候補をCustomerにする

そういう場合はCustomer候補を探し、そこに対し教育をして欲しいと思わせるような対策が取れます。

Customer候補というのは便宜上私が勝手に名付けたものなので、覚えなくて大丈夫です。
オンリーワンとなるための複数ある要素のどれかを外したものを欲しがるCustomerを探してください、という事です。それをCustomer候補とここでは呼んでいます。

上の例で言うなら、カフェイン除去率が高く、妊娠中授乳中の人を対象にする と範囲を広げればそれなりにCustomer候補は出てくる、という事です。
当然そこに対するCompetitorもいますからそこで勝負をするわけです。
ここでオンリーワンとなる要素を提示してCustomer候補に興味関心をもってもらう取り組みをするわけです。

オンリーワンで満足しちゃダメですよ

オンリーワンはある意味探しやすいかもしれませんが、当然市場は小さいです。

比較的簡単にその地位での顧客は確保できるかもしれません。というかそうする必要があります。それが弱者の戦略です。

ですが、そこで満足していては数を得る事が出来ません。少しずつオンリーワンになる要素を外していって、さらなる上を目指す必要があります。その都度Competitorに勝つための対策をとるのです。

このように、より大きな市場でナンバーワンを目指す試みをしてほしいものです。

3C分析(フレームワーク)の使い方まとめ

上で書いた内容についてはあくまでも一例ですが、いかがでしょう?

3C分析というフレームワークを使って、自社の商品サービスがCompany、Customer、Competitorの交わるどこに対応するのだろう、という事を考えながら、いかにしてベン図③を見つけ出すか、という使い方です。

ちなみに3C分析とは他にも色んな使い方ができます。
今回挙げたような考え方しかない、というものではありませんから、その点はご注意ください。
とはいえ、最初の段階では3C分析の活用方法をしるという意味で、しばらくは上の例に倣ってみるのは良いかと思います。

また、そもそもどうやってCompetitorを調べるのか、Customerを調べるのか、といった事も考えないといけません。そのために必要なフレームワークがあります。ペルソナという考え方やカスタマージャーニーマップ、マーケティングファネルというものですね。

Companyが持っている要素が強みなのか弱みなのか、という事も考えないといけません。SWOT分析、マトリクス分析といったフレームワークが活用できるでしょう。

なにはともあれ、これら数ある分析手法に興味を持つとっかかりとして、今回ご紹介した3C分析はかなり分かりやすい部類に入るだろうと思っておりますから、ぜひ試していただきたいです。

そうして、ぜひ御社の事業に活かしていただきたい思います。

お問い合わせ、ご相談を受け付けております

3C分析について実例から分かりやすくお伝えしたつもりではありますが、もしかしたら「うちの場合はどうなるんだ?そこが分からない」という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。

かつての私が正にそういう人でした。
自分自身の事を自分で知るのって難しいですからね。

なので、そういった人たちのために、第三者の目線でお伝えする立ち位置となる「IT相談役」というサービスを行っています。

サブスク型IT相談役サービス

単なる相談事、というよりはマーケティングに関する教育も含みますが、こういった事も対象にしております。

初回のお問い合わせ、ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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